雪舟回廊

ガーデンツーリズム

雪舟回廊の構成庭園

萬福寺庭園(まんぷくじていえん)

【所在地】
島根県益田市東町25-33
【開園面積】
1,419㎡
【入園料金】
500円(拝観料)
【公開時期】
年中無休
【施設管理者】
宗教法人萬福寺(民間)

明暗のコントラストと巧みな石づかいで表現された仏教の理想世界・須弥山

 雪舟が作庭したと伝わる池泉庭園。心字池のすぐ背後に石組の築山を設け、庭全体に芝が植え込まれています。庭の中心となる須弥山石組は順次うずまき状に下降しながら周囲に広がる。清簡にして典雅なる築山泉水の古園として有数であり、昭和3年(1928)3月28日に国史跡及び名勝に指定されています 。

須弥山思想を主題とした唯一の庭園

 この庭園の見どころは、多くの石を用いて 構成された石組です。庭の中心となるのは、築山の山頂に据えられた鋭い鏃形の立石 で、仏教の理想世界・須弥山を表現するものと 解釈されています。須弥山とは、仏教の世界観で、この世の中心にそびえる山のことです。山の周りを海が取り囲み、さらにその周囲に山が、といったように山と海が交互に囲みあい、世界が成り立っているという様を表現したものです。この庭園では、須弥山石を中心に、築山に配置された立石が山を表現し、周囲をめぐる池泉が海を表現しています。
須弥山石を取り巻くように、「不老石」「座禅石」など石組が組まれています。

 この須弥山の世界観を表現した日本庭園は、ほかに例がなく、独創的な唯一の庭園であるといわれています。

 また、これらの石組は、明の北宋式水墨山水画にみられるような立石とも解釈され、絵画的であるとも評されています。

巧みに表現された明暗~

 庭園手前の平坦地は明るい領域に、庭園奥側の築山はやや暗い領域に、と明暗を巧みに使い分けて美しい景観が構成されています。

萬福寺について

 萬福寺は益田氏の菩提寺で、宗派は時宗です。1374年の創建当時の様相を現代に伝える本堂も重要文化財に指定されています。その他、重要文化財の二河白道図や益田氏の交易や文化への関心の高さを示す華南三彩壺など、中世の益田の文化の粋が集まる場所となっています。

 庭園を間近に鑑賞できる庫裏では、能や狂言、中世の音楽の講演や、中世の領主益田氏が戦国大名毛利元就にふるまった料理(中世の食)を食べる行事が開催されるなど、現代の益田の歴史文化の情報発信拠点としても活用されています。

上:再現された「中世の食」
下:料理の献立が記されている古文書(東京大学史料編纂所所蔵)

日本遺産
「中世日本の傑作益田を味わう-地方の時代に輝き再び-」構成文化財の一つ

計画のテーマでの位置づけ

雪舟作庭伝承の残る文化財庭園。国指定史跡及び名勝。雪舟が晩年、益田に滞在し、益田氏第15代「益田兼堯像」を制作していた際に作庭されたと伝わるものです。益田兼堯像は、構成要素である雪舟の郷記念館に所蔵されています。